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潮風の香る教室


日々の記録から始めたブログも、2007年からもはや何年? 14年か! 現在はFBとTwitterがメインなのでブログに書かなくなったなぁ…。
by t-fuji5289
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【MM】ファシリテーション・グラフィックをはじめよう(14)

【MM】ファシリテーション・グラフィックをはじめよう(14)_f0137124_10590084.jpg
【MM】ファシリテーション・グラフィックをはじめよう(14)_f0137124_10591099.jpg
北海道・北斗市の山川香緖里さんの実践です。
ファシグラ×思考ツール×ワークシートというアイディアを生かして、授業システムの中にファシグラを位置付けています。Xチャートを使うことによって、子どもがファシグラを描くためのスモールステップを実現しています。


# by t-fuji5289 | 2016-10-29 11:00 | ファシグラ実践

【MM】ファシリテーション・グラフィックをはじめよう(13)

【MM】ファシリテーション・グラフィックをはじめよう(13)_f0137124_10200395.jpg
愛知県・名古屋市の奥井貴仁さんのファシグラ。
町探検の前後で活用し、「自慢」をみつけるという授業に活用されています。



# by t-fuji5289 | 2016-10-29 10:21 | ファシグラ実践

【熊本FGふり返り・その2】

【熊本FGふり返り・その2】

(1) 17世紀におけるカトリックの「民主化」提案

カンバーランドは17世紀の思想家です。カトリックが権威を失いつつある中で、彼は「仁愛」の思想を再評価することを試みました。それと同時に教会の重要さも主張したわけです。

堀内による解説では、カンバーランドは「仁愛は誰でもその重要さを理解している。神がそのように人間をつくっているのだから。だが、実際に幸福に近づくためには教会の助けも必要である。」と論じたそうです。堀内は、この主張のあり方に「政治版マーケティング3.0」の萌芽をみたと指摘しています。

それは、キリスト教と教会という「システム」から宗教性を取り除いたときに、何が見えるかということです。このあとの解説がざっくりしすぎていて藤原としては簡単に分かった気になることに警戒もしているわけですが、やはりわかりやすいので(笑)そのまま引用します。

「そこで行われているのは、アクセスが容易な場所で、自分よりもちょっと知識のありそうな人に会いに行くことで、自分の幸福への欲求に適切な導きを与えてくれるということだ。これは仕組みとしては民主主義のモデルに他ならない。」

近代の学校にもそのまま適用できそうなもでるですね。学校が教会をモデルにして誕生したことは、イギリスにおける公教育の歴史をひもとけば自明なのですが、ここでは触れず、「主体は誰か」ということから考えて見ましょう。

カンバーランドは、主体を教会から信者へと転換したのではないでしょうか。ただただ神に従うのがそれまでのカトリックの教えだとしたら、彼は「主体としての信仰」を信者に認めた。人間の中に、神によって予めセットされた仁愛がある。その発揮の手助けをするのが教会であるというように。なんだかこれ、とってもファシリテイティブですね。人生は信者自身のもの。教会はそれを導く支援者。神から降ろされた使命を生きるのでは無く、神が与えた命を生きていく。そのように転換したのではないかと思います。
(ただし、この後彼は神学論争に巻き込まれていくそうです。そりゃそうですよね。パラダイムを転換してしまうのだから)

(2) 改めて「ラスボスの長老化」を考える


さて、これを熊本FGの会における指定討論者の位置づけと関連させて考えます。昨日の投稿では、私は次のように書き込みました。

----引用開始----------------------

1 授業リフレクション×FGの新たな可能性を得た。

① 事前検討+FG(既)
② 模擬授業+FG(既)
③ 授業中は参観者を2グループに分けてフィッシュボウル
 (既/考案者:三浦将大)
④ FGを撮影して、プロジェクタにて拡大投影。(新)
⑤ 授業者が画像を操作して授業の振り返り。(新)
⑥ 授業者の振り返り中に原版FGにさらに書き込む。(新)
⑦ 指定討論者からコメント+FG(既)
⑧ ⑤~⑦を受けて、グループでリフレクション。(新)
⑨ 全体リフレクション(既)

BRUSH-UPで三浦さんが考案した授業検討の方法をアレンジして熊本でも使わせてもらった。十全に機能を発揮させるためには種々の条件を整える必要は感じたが、中学・高校で教科の壁を越えて授業を検討する際の手がかりが得られた。

事前検討の持ち方は冬の千歳で行った「部屋の四隅」方式と組み合わせたほうがおそらく効果が上げられる。まぁ、これは今回のデザインにははまらない方法なので12月に溝上さんがどのように実施されるのか注目したい。

それから、指定討論者のタイミング。指定討論者を引き受けていただいたのが県の指導主事で、AL推進の中心人物である和田先生だからこその核心を突くものであったことが大きいのだが(高校数学と中学社会の模擬授業に対して、同じ時間配分で大半が高校の先生方であるフロアを唸らせるコメント…いつかその境地に立ちたい…)指定討論者を「ラスボス」(笑)にしない。冒険者たちに旅の途中で知恵を授けてくれる「長老」になってもらう。「ラスボスの長老化」がポイント。


----引用終了----------------------

ここでいう「ラスボス」は、カトリック的「神」の位置に他なりません。教育行政という「神」の位置から授業を講評する。それは「正しさ」として機能することを期待されています。模擬授業者の提案、つまり「試み」に対して、正誤適否の判断を下すことが役目です。

これに対し「長老」は支援者の立場です。模擬授業者の提案に対し、フロアにいる参加者が自分の現場に持ち帰る知恵として「方向付け」と「考える材料を価値付けする」ことが役割の中心です。

熊本の会では、上記のように指定討論者の出番をグループ討議の前にもってくるデザインでした。それは、模擬授業を「検討」するのではなく、模擬授業という素材の提供を受け、どのようにそれを受容すべきかという長老の価値付けを経た上で、個々の課題に向かって思考をふかめていくことを目指したことに拠ります。

また、昨日の会では「ALの授業づくり」がテーマでした。
これがキャリア教育や人権教育のように、ある程度議論の土俵が形作られているテーマでしたら、ラスボスでも構わないと思います。ですが、ALについては、まだまだ未知の領域です。手探りで始めようという段階です(参加者の大半が、高校の先生であり、切実な問題意識をお持ちのベテランということも見逃せない要素です)。そういうわけで、扱ったテーマに対して、「長老によるオリエンテーション」が有効だったと考えています。

裏を返せば「いつでも・どこでも」有効なアプローチではありません。あくまでもテーマとの関連で講座全体をデザインしたときには「長老化」が有効であった(のではないか?)ということです。

(3) まとめ

 講座デザインは、その目的により有効な形が目指されるものです。ですから、熊本FGセミナーに大変高い評価をいただくことはとても嬉しいことですが、もっとよく出来たはずだ、とも考えています。私の未熟さです。

 例えば授業観察者の「観点」を共有した方がよかったのではないか、参観者の位置と参観ポイントを「小学校の場合は」と例示した方がよかったのではないかと反省点が多いです。また、上記では触れていませんが、私の「構成員への理解」がもっと高ければ、個々に有益な役割を請け負っていただくことで、効果を上げられたのでは無いかとも考えています。至らぬ点ばかりで恐縮ですが、今後の研究に活かしていきます。

 提案の場を下さった溝上さんを始め、ご縁をいただいた皆さんに改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

参考文献)
堀内新之介『感情で釣られる人々』集英社新書

# by t-fuji5289 | 2016-08-16 22:21 | 日々の雑感

【熊本FGふりかえり】

【熊本FGふりかえり】

熊本のFGセミナーは、僕の方がいろいろと勉強させてもらった。帰ってからじっくりと考えていくためにメモ。

1 授業リフレクション×FGの新たな可能性を得た。

① 事前検討+FG(既)
② 模擬授業+FG(既)
③ 授業中は参観者を2グループに分けてフィッシュボウル
 (既/考案者:三浦将大)
④ FGを撮影して、プロジェクタにて拡大投影。(新)
⑤ 授業者が画像を操作して授業の振り返り。(新)
⑥ 授業者の振り返り中に原版FGにさらに書き込む。(新)
⑦ 指定討論者からコメント+FG(既)
⑧ ⑤~⑦を受けて、グループでリフレクション。(新)
⑨ 全体リフレクション(既)


BRUSH-UPで三浦さんが考案した授業検討の方法をアレンジして熊本でも使わせてもらった。十全に機能を発揮させるためには種々の条件を整える必要は感じたが、中学・高校で教科の壁を越えて授業を検討する際の手がかりが得られた。

事前検討の持ち方は冬の千歳で行った「部屋の四隅」方式と組み合わせたほうがおそらく効果が上げられる。まぁ、これは今回のデザインにははまらない方法なので12月に溝上さんがどのように実施されるのか注目したい。

それから、指定討論者のタイミング。指定討論者を引き受けていただいたのが県の指導主事で、AL推進の中心人物である和田先生だからこその核心を突くものであったことが大きいのだが(高校数学と中学社会の模擬授業に対して、同じ時間配分で大半が高校の先生方であるフロアを唸らせるコメント…いつかその境地に立ちたい…)指定討論者を「ラスボス」(笑)にしない。冒険者たちに旅の途中で知恵を授けてくれる「長老」になってもらう。「ラスボスの長老化」がポイント。

2 FGスキルが即反映させられる場が構想できそう。


午前中にFGスキルをトレーニングして、午後の模擬授業+FGを設定。参加者にFGを担当してもらう。複数同時進行も可。設定自体はBRUSH-UPセミナーで実施しているが、今回のようなアウェイの地で現地事務局や一般参加者に預けるのもよいと思った。

3 高校のALに対する危機感はとても強い。

系列校が廃校になったという高校の先生のお話はつよい危機感を覚えるものだった。裏返せば、それがあの日の熱気につながっているというわけだ。人ごとではないなと感じた。

4 溝上さんたちがつくられている場がとても素敵だった。

事務局の方々、リピーターの方々、初めて足を運んだという方々…。積み重ねてきたモノが信用になるのだなぁと思った。西尾さんや笹原さんとの対面に感動した。内藤さんや西村さんとの再会も嬉しかった。八巻さんが会場に来てくれた。模擬授業者の園田さんも小田さんも、とてもとても力量のある方で、背筋が伸びた。やばいな、おれ。もっと勉強しなきゃ。豊田さんや寺本さんをはじめとするスタッフの方々の動きも真似したい。また、この日に出会った皆さんに刺激をもらった。問題意識を強くもっている方々が集まる場所はそれだけで刺激的になる。あ、末吉さん「魔王」ごちそうさまでした(笑)

5 50代が元気な場所は、学びも豊か。

熊本で最も強く感じたところはここかもしれない。
ベテランが貪欲に学んでいたら、若手がサボるわけにはいかない。とはいえ、部活はやはり若い先生の仕事になるようで、なかなか職場を離れて学びに出られないそうだ。
そのことはおいても、学びの姿勢に見習うところが大きい。

6 縁はどんどんつながっていくこと。

知り合いの知り合いがどんどんつながり、それが新たな気づきやチャレンジを呼び起こしてくれる。熊本はそれが凝縮されていたように思う。そして、僕がすっからかんにならないために、FGのことと日々の記録の在り方をもっともっと自覚的に、こだわりをもって、しつこく続けていく必要がある。

まだまだあるけれど、空港のロビーで立ったまま打ち込むことにちょっと疲れてきたので、また機会を改めて。

熊本でお目にかかった皆さん、本当に本当に有難うございました。
もっともっと成長して、また伺います。

# by t-fuji5289 | 2016-08-16 22:18 | 日々の雑感

旭川での研修主任の会とファシグラの位置付け

≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪
 『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第3757号☆
                  2016年7月13日:水曜日発行
   編集・発行 梶原末廣       sukaji@po.synapse.ne.jp
  http://www.synapse.ne.jp/~kanoyu/sukaji/index.html
http://www.synapse.ne.jp/~kanoyu/kyoushi/index.html
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===================★☆INDEX★☆=================================================
◆「ファシリテーション・グラフィックをはじめよう」(11)藤原 友和(北海道)
==================================================◆◇===========================

【連載】

■「ファシリテーション・グラフィックをはじめよう」(11)

          藤原 友和(北海道)


◆「グラフィック・“ファシリテーション”を機能させるFG(その2)」


1 「研修担当者連絡協議会in旭川」のお話

前号では、中堅・若手の研修担当者が集って互いの実践を交流する集まりの中で、
FGを活用して「共通の議論の土俵づくり」を行った、という話をしました。そし
てそれが当事者意識を喚起し、アイスブレイクの機能も果たしているという側面
についても述べました。

今回は、この学習会の後半部部分、互いの実践を持ち寄り交流する場面での様子
を報告します。当日のタイムテーブルは以下のようになっていました。

 10:00~11:00 自己紹介を兼ねたワークショップ「研修の難点ってどこ?」
 11:00~12:30 資料共有・話し合いの時間1「実際、どうやってるの?」
 12:30~13:30 昼食
 13:30~14:30 資料共有・話し合いの時間2「実際、どうやってるの?」
 14:30~15:00 ふり返り

 11:00以降の「資料共有・話し合いの時間」が今回のお話です。


2 「コンテンツ」と「プロセス」を分けることを意識する

(1) グラフィッカーへの注文

 基本的には次のように進めています。

・それぞれがもってきた資料を配付する。
・全員でざっと目を通す。
・誰かが誰かの資料に対してコメントする。
・話し合いの経過をレコーディングする。

この進め方を参加者に説明したあとは、ファシリテーターである私も参加者の一
人になります。自分自身もレポートをもって参加していますので、フラットな立
場で議論に加わります。

同時に、Gさん(グラフィッカー)には次のようにお願いしました。

「レポートに書いてあるような内容はレコーディングしないで下さい。それより
も、レポートをきっかけにして始まったやりとりの方を重点的に拾って下さい。」

これはつまり、「抽象の梯子を登る」レコーディングをお願いしたということです。
順を追って考えてみたいと思います。


(2) 描くべき内容をレベル分けして考えてみる

まず、自分の学校での研修を推進する仕事・そこで起きている様々な事象を「レベ
ル1」とします。実際に行ったこと、肌で実感したこと、まさに現場で起こってい
る事実のことだと考えて下さい。

次に、レポートは「レベル2」です。自分なりに事実をどうとらえてどのように記
述したのか。一段階レベルが上がっています。レポートは純粋なる事実の記述では
ありません。あくまでも報告者の主観によって「選択された事実」です。

それから、レポートについて説明するときの言葉を「レベル3」とします。これは、
「選択された事実」を、相手に対してどのように価値付けしながら伝えるのかとい
うフィルターがかかっていますので、さらに主観を反映する度合いが大きくなるで
しょう。

ここまでをレポーターの提供する「コンテンツ」と考えます。

さらに、話し合いが始まって、参加者それぞれが発言した意見や感想などのコメン
トを「レベル4」とします。参加者それぞれが現場で面している課題も、各人の問
題意識のありようも様々です。レポーターの提案に対する個別の反応を、この段階
とします。

最後に、ある程度議論が深まって、互いの問題意識が明らかになりながらも、「結
局、話し合われたことはどういうことなのか」という共通認識に至ったとします。
これを「レベル5」とします。議論の一応の着地点です。


(3) 期待される「機能」とはなにか

Gさんにお願いしたのは、「レベル3以降のレコーディング」ということでした。
レポートに書かれている内容を模造紙に描く必要はありません。構造化されて記録
されるべきは「議論のプロセス」と、「共通理解に至るまでに出てきたキーワード」
なのだと考えます。後者を足がかりにしながら、事象に接していたときには見えて
いなかったことやものに気づいていくこととが大切で、グラフィックはそれをファ
シリテート(促進する・容易にする)ためのものです。

そうであるならば、当事者では無い参加者(ファシリテーターである私を含めて)
は、「レベル1」のことを知ることはそもそもできません。「レベル2」や「レベ
ル3」を手がかりに想像を巡らせることがせいぜいです。そして、「レベル2・3」
のことだけを問題にしていたのでは、現状維持・再強化にしかなりませんから、益
するところは大きくは無いでしょう。

参加者にとっても、レポーターにとっても、つまりその「場」にいる全員にとって
も意味があるのは「レベル4」を共有しながら「レベル5」に至ることではないで
しょうか。グラフィック・ファシリテーションが機能したかどうかは「レベル4・5」
を実現していたかどうかにかかってくるのではないかと思います。

もちろん、グラフィックだけに依存するものではありません。全体のプログラムや、
参加者のありよう、ファシリテーターの存在、時間配分や環境設定など、複数の要素
が考えられますので一概にグラフィックの機能として論じることは難しいのかも知れ
ません。が、「何を狙って、どの部分を」描くのかを考えることで、「どのように描
くのか」が決まるのでは無いかと思います。
 

3 その結果、会はどうなったか

Gさんは、この会を次のようにふり返っています。

***(引用開始)************************************

FG担当としての視点で、振り返ってみました。

藤原先生からお話があった、「レポートに書いてあることより、やりとりを。」とい
うことを強く意識して描きはじめました。しかし、実際に描きはじめてみると、すぐ
に、ほとんど意識しなくなっていました。というのも、この会は単なるレポートの紹
介ではなく、背景にある実践の詳細であったり、その時の思いであったり、学校での
同僚との関わりを語るものとなっており、そこから生まれる参加者とのやりとりが中
心となっていたためです。私が描くFGも、自然とその場で飛び交っていた先生方の言
葉を切り取るようなものとなっていました。

重要と思い描き留めたのは次のようなところです。

1)おしゃべりに勢いがあったところ。
2)その発言をきっかけに話が発展したところ。
3)その発言をきっかけに話が止みうーんとみんなで考えたところ。
4)話がひとつのキーワードにまとまったところ。

このとき意識したのは、聞いた言葉を、できるだけ発言した先生のそのままの言い方
に近い形で描くことです。私の解釈で別の言葉や言い回しに置き換えたときに、他の
参加者にとって分かりにくくなってしまうと思ったからです。そのままの言葉であれ
ば、FGを見返したときにそれぞれがそのときそこで感じたことを思い起こすことがで
きるのではないでしょうか。(可能性大ですか?)

今回、この会でFGを担当させていただいて、描いて心に残っているフレーズは「どの
学校も似てるのね」です。ある程度描き進められたFGを眺めながら、ある先生がつぶ
やいた「どの学校も似てるのね…。」この会で感じたこと、得たもの、グっとくるポ
イントはそれぞれかと思いますが、「ああ、みんな同じような悩みを持って頑張って
いるんだ。」と共感し合えた会だったように思います。先生たちの生の声を描き留め
ようとしたFGが、こういった共感を生み出せたことに少しでも役に立てていたらなら
嬉しいなと思います。

            (野澤愛子・中頓別小学校)
***(引用終了)************************************

本人も意識されていますが、Gさんのグラフィックは「なるべく主観を交えないで描く」
グラフィックでした。これは私の依頼であることはもちろんですが、もともとそのよ
うに描いている方でした。そこで、このような場には相応しいと思って登壇を依頼し
たという経緯があります。その期待に十二分に応えていただきました。

さて、Gさんのふり返りの中から、次の問題提起が見えてきました。『「ああ、みんな
同じような悩みを持って頑張っているんだ。」と共感し合えた会だったように思いま
す。』という発言です。ポイントは「共感」です。Gさんのグラフィックがこのため
に大事な役割を果たしたことは言うまでもありませんが、新川宏子さんが別の角度
からふり返って下さいました。


***(引用開始)************************************

初めて参加した研修担当者連絡協議会。いったいどんな会になるのかドキドキしなが
ら、でもとても楽しみに参加しました。少し遅れて会場に入るとすでに話し合いは始
まっていたのですが、自分が参加するまでにどんな話が出ていたのかということがフ
ァシリテーショングラフィックに記録されていて、見ただけで大まかな流れを瞬時に
つかむことができスムーズに話し合いに参加することができました。また、この話し
合いの中で私が不思議だなぁと感じたことは、多岐にわたる話題が提供されたのにも
かかわらず、とっ散らかった印象が一つもなかったということです。それは場を交通
整理してくださった藤原さんのファシリテートとグラフィックによるところが大きい
と感じました。藤原さんは場の話題とグラフィックをつなぐ役割をとても上手に果た
してくださったと思います。フロアーはそれぞれが言いたいことを言いながらほかの
フロアーとつながりあっていたのだと思います。そのつなぎ目にいたのが藤原さんで
あり、グラフィックであったと思います。あの場の空気を言語化するのはとても難し
いのですが、そこにいた者にしか感じられない不思議な親和感がありました。それは
場を共有する、問題を共有したメンバー独特のものだと感じました。時間が進むにつ
れて、どんどん本音が出てきて初めて会ったメンバーとは思えない空気が醸成されて
いたのでした。

様々な研修会や会議がたくさんありますが、短時間であっという間にフロアーをつな
いでしまうファシリテーターやグラフィックの役割の大きさを感じたのはこれが初め
てだったかもしれません。あまたの研修会でその内容を記録した素晴らしいグラフィ
ックをたくさん見てきましたが、話し合いを可視化し、今まさに進行する論議を助け
るものとしてのグラフィックを見たのはこれが初めてだったかもしれません。ファシ
リテーショングラフィックの新たな可能性を感じた協議会でした。

***(引用終了)************************************

過分なお褒めを言葉をいただいて恐縮ではあるのですが、新川さんのふり返りの中に
は、これまで私自身があまり意識してこなかった部分が指摘されています。それは、
グラフィッカーとファシリテーターの分業ということです。

これまでに私自身が描いてきた場では、グラフィッカーとファシリテーターを兼ねる
ことが多かったので、FGについて何か言おうとすると、グラフィッカーとしての発言
が多くなっていました。フィードバックをいただくのも、あくまでも「兼業した場合」
に限定したものです。

今回、新川さんからいただいたように、「ファシリテーターとしての私」に対するフィ
ードバックは、ファシリテーション・グラフィックを考える上で、「場づくり」の大切
さと、「場づくり」の全体となる背景を踏まえる必要性を感じさせてくれました。感謝
の思いは尽きません。


4 次回予告

さて、次回はファシリテーション・グラフィックが位置付く「場づくり」の話をしたい
と思います。一つには「時間的な軸」。「研修担当者連絡協議会」という会が、どのよ
うな経緯で一つの場をかたちづくっていったのか、「議論の見える化」という視点から
ふり返ってみたいと思います。

もう一つは「空間的な軸」。この日の環境設定と、その機能を考えていきたいです。

それではまた!


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【最終案内-1】

◆「中高MM3500号記念懇親会」


昨年秋に中高MMは3500号を発行しました。既に3754号を編集・発行
(7/10)致しましたが、きりの良い3500号記念お祝い会を開催します。
執筆者&購読社の皆様とお目にかかり歓談と夕食の時間(編集会議)を持ちたい
と考え企画しました。

どうぞ、皆様、執筆者でなくとも「教育」や「コミュニケーション」や「カウン
セリング」などに興味がある方ご参集いただければ幸いです。ふるってご参加
加いただきますようお願い申し上げます。


*「中・高教師用ニュースマガジン」(中高MM)3500号記念*


日 時:7月26日(火)20:00~22:00

会 場:山有fukuitadaki(仮)http://sanyu-fukuitadaki.jp/
住所:〒890-0056 鹿児島県鹿児島市下荒田2丁目12?15
電話: 099-204-0677

会 費:3500円

参加者:10名(残5名)

対 象:中高MM執筆者&購読者&教育関係者(含保護者)

ゲスト:ハワード・カツヨ氏(教育学博士)(アメリカより帰国)
    カリフォルニア州立大学名誉教授・カウンセラー 
    カリフォルニア州認定マリッジ・ファミリー・セラピスト
    TRUE COLORS JAPAN マスタートレーナー
    True Colors Japan: http://truecolorsjapan.jp/

★【申込みフォーム】こちらからご記入いただければ、幸いです。
    http://form1.fc2.com/form/?id=195314


*または、直接次のメルアドまたはお電話ください。
 kanoyu@po.synapse.ne.jp (中高MM)
 (連絡先:090-1346-3090)


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【最終案内-2】


◆「子ども・教師・保護者も幸せになる!ぶつからない指導入門」
~第17回霧島プロジェクト in 指宿~

【講師】城ケ崎滋雄氏(著書多数・千葉県公立小学校教諭)
    http://jougasaki.blog.fc2.com/

【日時】2016年7月30日(土)
    13時受付開始
    13時20分スタート~17時50分終了予定

【会場】開聞山麓香料園(指宿)
http://www.hoshogarden.com/

【募集人員】20名(残10名)

【参加費】2,000円

【夕食懇親会】1,500円

【セッション内容】

受 付:13:00~13:20
開講式:13:20~13:25
セッション1(アイスブレーキング):13:25~13:55
セッション2:授業こそ学級づくりの核~城ケ崎先生の国語授業を体験~
セッション3:城ケ崎先生はなぜぶつからない指導をするのか? 
       みんなが幸せになるぶつからない指導入門
<休憩> 「開聞山麓香料園」散策
    (オーナーの宮崎氏よりガイド付き案内:植物・昆虫採集も)
セッション4:こうして保護者と教師で子どもを育てる!! 
       城ケ崎先生は保護者とどう付き合っているのか
セッション5:城ケ崎先生に質問&回答コーナー
閉講式:17:30

*皆で後片付け*

夕 食(兼懇親会):18:30~20:30

【オプション】「指宿(周辺)観光」(費用各自負担)
 ・2016年7月31日(日)9:00~13:00(含昼食)

★【申込みフォーム】こちらからご記入いただければ、幸いです。
    http://form1.fc2.com/form/?id=141290



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◆「かごしま朗読Cafe」2016年 下半期◆

●第2回さかのうえ哲学カフェ(テーマ:豊かさについて)
   7月10日:「カフェラカン」
     参加者:8名(7/10)

☆第1回まちさるくからのランチミーティング
   7月17日:会場未定
   まちさるく(町歩き)をして一緒にランチと歓談
   参加予定者:2名(7/10現在)(5~10名定員)

★8月29日開催予定:Maria cafe(天文館)
   参加予定者:11名(7/4現在)

★9月25日開催予定:Chaho Shimodouzono (中央駅前)
   参加予定者:5名(7/4現在)

*直接次のメルアドへ申し込みください。

 kanoyu@po.synapse.ne.jp (かごしま朗読会)

 (連絡先:090-1346-3090:かごしま朗読会)

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===編集日記=== 

  皆様に支えられて「日刊・中高MM」第3757号です。

 藤原友和さんの「ファシリテーション・グラフィックをはじめよう」、
 お届けします。

 ・「グラフィック・“ファシリテーション”を機能させるFG(その2)」

 ・全体のプログラムや、参加者のありよう、ファシリテーターの存在、
  時間配分や環境設定など、複数の要素が考えられますので一概にグラ
  フィックの機能として論じることは難しいのかも知れません。が、
  「何を狙って、どの部分を」描くのかを考えることで、「どのように
  描くのか」が決まるのでは無いか。

 FGの可能性というか、やはり機能性についてこれほど理解がいく文章は
 ないのではないか。ものごとの理解には様々な方法があるが、これほどそ
 れを実践したものは少ない。結論ではなくプロセスを示すことで逆にその
 思想がみてとれる。形で言えば、一方通行でもなく、双方向でもなく、あ
 えていえば、三竦(すく)みの形でより課題を浮き彫りにする。

==============================================================================
       皆様のご意見・ご感想お待ちしています。
       sukaji@po.synapse.ne.jp
       梶原末廣【インターネット編集長】
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中・高校教師用ニュースマガジン 2000年3月26日創刊
  編集・発行 梶原末廣 sukaji@po.synapse.ne.jp 
◎バックナンバー
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●日刊【中高MM】●マガジンID:0000027395
■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
        http://www.mag2.com/
Copyright(C),2000-2016 ChuukouMM INC
全文、または一部の記事の無断転載および再配布を禁じます。
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☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆2016年☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆              

【2016年7月】

14 「環境問題について」(174)枝廣淳子(千葉県)
   「東北の春」(3)梶原末廣(鹿児島)
15 「特別支援教育の在り方」(10)吉田博子(東京都)  
16 「静の旅育ち」(18)本田 静(鹿児島) 
       ~イタリア7泊9日記~
17 「新 教育をみつめて」(47)土橋英光(埼玉県) 
   「鈴木敏恵の未来教育インフォメーション」(3)鈴木敏恵
   「生徒へ送る心のメッセージ~教師のための新しい視点~」(66)
                 桑原規歌(愛知県) 
18 「リフレクションの探求と実践」(9)中島 久樹(東京都)
19 「百菜園便り」(65)木原ひろしげ(福岡県)  
20 「月刊 学び工房eiichi」(31)原口栄一(鹿児島) 
   「雑感・相手の立場 」(46) 西澤俊英(滋賀県)
21 「総合学習回顧録ー小学生ママと総合学習」(86)名生修子(兵庫県)
22 「立ち止まってメモしたことを」(11)北原妙子(熊本県)
23 「プロジェクト志向でいこう!」(96)若槻徹(島根県)
24 「教育への道~グローカルアカデミー~」(13)岡本尚也(鹿児島県)   
25 「子どもたちのわくわくアート」(122) 西尾環(熊本県)
26 「子どもの頑張りを認めてくれる先生」(16)城ヶ崎滋雄(千葉県)
「教師のための読書話~今月のお薦めの一冊、二冊、三冊」(13)
                 長瀬拓也(京都府)  
27 「学びが深まるアクティブラーニング(AL)の授業設計」(11)
    水野正朗(愛知県)
28 「学校英語と実用英語」(10)浜田雅暢(鹿児島) 
29 「僕らはみんな生きている」(118)杉山武子(鹿児島)    
30 「想いは南風に乗せて-あなたの心に」(63)堂園晴彦(鹿児島県)
31 「スイスで先生~生物学教師になるまで」(40)ブランド那由多(スイス)
   「森知子の旅と本」(3)森知子(スペイン)

【8月例年通り休刊月です:臨時号は編集発行】


【2016年9月】

01 「僕らはみんな生きている」(118)杉山武子(鹿児島) 
02 「映画の中の先生たち」(19)木原ひろしげ(福岡県)
03 「東北の春」(4)梶原末廣(鹿児島)
   「島に、生きる。」(70)山下賢太(鹿児島)
04 「環境問題について」(175)枝廣淳子(千葉県)
05 「ボーダレス・アート・ラボ 虹から」(14)岡崎あかね(大阪府)
06 「子どもたちのわくわくアート」(123) 西尾環(熊本県)
07 「理想の学び舎作りへ」(22)瀬尾公彦(愛知県)
08 「ヒサシは歩くよ何処までも」(20)大岩根 尚(鹿児島)
09 「沖縄ものしりクイズ100問」(3)蔵満逸司(沖縄県)
10 「ファシリテーション・グラフィックをはじめよう」(12)
                 藤原 友和(北海道) 
   「葦の髄から」(12)梶原末廣(鹿児島)
11 「生徒へ送る心のメッセージ~教師のための新しい視点~」(67)
                 桑原規歌(愛知県)


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<不定期の作品>

「音楽・平和・学び合い」(27)笹木陽一(北海道) 
「数学教育の散歩道」(18)下郡 啓夫(北海道)
「こんなんもありますVer3 ライオンズクエスト
       (ライフスキル教育)」(6)原田達明(熊本県)
「徒然つばめ本紀行」(5)小村勇一(鹿児島県) 
「薫のデジタルにっし」(78)Slotsve堀内(アメリカ)
「読み聞かせる教室づくり」(30)石川晋(北海道)   
「モスポイントたより」(92)クニコ・ホール(アメリカ)
「ITのお世話の日記」(24)山之上 卓(鹿児島県)
「一歩ずつ」(56)岩堀美雪(福井県)
「日常性の教育学」(36)上條晴夫(宮城県)
「夜間教職大学院にて」(3)壷坂宣也(兵庫県)
「目線を変えて見えた世界」(91)野元尚巳(鹿児島) 
「リアル熟議inSATSUMA」(11)梶原末廣(鹿児島) 
<連載休載中の作品>
「森知子のナワホタ日記」(11)森知子(キルギス)
「書写の森」(6)大平恵理(東京都)
「数学まるかじり」(34) 山崎直和(鹿児島) 
「新聞読み比べ~NIEのヒントに~」(32)谷口泰三(東京都)

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【読者アンケート】本日の作品はいかがでしたか? 
 http://clap.mag2.com/driacrisur
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# by t-fuji5289 | 2016-07-13 23:54 | ファシグラ理論